心底笑男の教えて!チームSenkawos [第三回] 桑原”ケニー”健輔

2016-09-20  Reo Yoshida

warao_kennyこんにちわ!居酒屋大好きなアラ還音楽評論家、心底笑男です。Senkawosの約3年ぶりのNew Album「Fork」が9/7に発売され慌ただしい日々を送っております。今回のアルバム発売記念連動スペシャルブログ企画は、毎度お馴染みのメンバーへのインタビューではなく趣向を変えて、通称「チームSenkawos」としてバンドを下から裏から上から真正面から支えてくれているスタッフにウルトラ・フォーカスしようと思います!

Senkawosの屋台骨、暖かい目で見守るゴッドマザー、時に厳しい意見で己を見つめ直させるカミナリ親父的なポジション。Senkawosはチームセンカヲスの献身的な応援があるからこそここまでやってこれたバンドなのです。時に苦しみ、時に泣き笑い続けた末に生まれた最新作「Fork」を手に取ると同時に、優秀なスタッフと共に歩み続けた歴史を知って頂ければこそ、なおさら「Fork」に味わい深いコクが加わる事かと思います。

三回目となる今回はSenkawosの専属PAとして数々の現場でバンドサウンドを纏め上げる音の錬金術師。「第6のメンバー」こと桑原”ケニー”健輔さんをお迎えして、Senkawosのライブサウンドの本質へと迫ってみたいと思います。


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御茶ノ水の楽器屋で中古で買った8chカセットMTRで録ってたんです。

心: ケニー君は現場で良くお見かけするけど、ちゃんとお話するのは初めてかな!自己紹介からお願いします!

ケ: はじめまして!家系ラーメン発祥の地、横浜出身のフリーランスでPAエンジニアをしている桑原健輔と申します。みんなからはケニーと呼ばれています。あまりに本名が浸透してないので、東南アジア系の人だと思われている方もちらほらいるようです(笑)。

心: そうなの(笑)⁉︎バリバリの浜っ子だね。僕も最初はアジアか中東の人かと勘違いしてた口だけど(笑)。では早速始めようか。そもそも、PAになったきっかけは?

ケ: そうですね、音楽モノのPAやってる人は大体そうだと思うんですけど、僕も学生の頃バンドをやっていて。完全に趣味のバンドでしたけど、活動していくうちにCD作りたいねってなるんですが、お金もないし今みたいにPro ToolsやDAWが身近になかったので、御茶ノ水の楽器屋で中古で買った8chのカセットMTRで録ってたんです。元祖宅録の世代ですね。

心: 懐かしい!僕は未だにTASCAMのPORTA TWOで昔のテープを聴いてるよ。あのコモった音がなんか好きでさ。最近はテープでリリースなんて人達も増えてるし、一回テープに落としてLo-Fiにする録音方法とかも主流になってるよね。Senkawosの大島くんと吉田くんも、その昔はTASCAMの4chのカセットMTRでシコシコと音源を作っていたみたいだね。確かにアナログ最後の世代と言えるね。

ケ: 当時は当たり前ですが、思うような音にならないんですよ。まあ、その時は演奏レベルが低かったのが一番の原因ですが…(笑)。

心: ははっ(笑)。

ケ: どうしてもいい音にしたくて試行錯誤していたら、演奏よりそっちの方が楽しくなってきちゃって。それがエンジニアを目指そうと思ったきっかけですかね。

心: なるほどね。ケニー君はどんな音楽が好きなの?

ケ: 学生の頃はAIR JAMが盛り上がっていたこともあり、メロコアやラウド系ばっか聴いてましたね。ハイスタやスネイルランプ、ブラフマンとか。練習スタジオにいけば必ずどこからか、「Fighting Fists, Angry Soul」のソロが聴こえてきてた時代ですから(笑)。

心: そうか。和田君や石井君もそこらへん通ってるんだよね。その世代なら避けては通れない道だね。

ケ: 20歳くらいになってからは、音響の専門学校の友人たちの影響もあり、かなりいろんなジャンルの音楽を聴きましたね。その中でもtoeの「I dance alone」という曲にかなり衝撃を受けて、そこから叙情派インストやJAM系インストが好きになっていきました。一時期4つ打ち系や打ち込み(テクノやエレクトロニカ)にハマって、WIREやMETAMORPHOSEに毎年遊びに行ってた頃もあったんですけどやっぱり根はバンドサウンドが好きだったんですよね。

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心: そうなんだ。テクノやエレクトロニカなんてある種エンジニアの音楽とも言えるからね。そこにハマるのは必然だった訳だ。趣味は?

ケ: キャンプとラーメンですね。横浜出身なので、家系は物心ついた時から食べてたんです。ラーメンといえば濃厚豚骨醤油だと思っていたので、初めて中華そばとか塩ラーメン食べた時は色んな意味で衝撃でしたね。パンチが足りない…って(笑)。

心: そんな英才教育があったなんて(笑)。横浜恐るべし。今家系すごい増えてるもんね。最近のお気に入りの店は?

ケ: 世田谷に越してきてからはあまり家系が食べれない代わりに「二郎系」をよく食べてますね。本家からインスパイア店まで色々ありますが、最近行って美味しかったのは元住吉の「豚星」ですかね!

心: ほうほう!名前からしてパンチある!美味しいんだ!

ケ: バランスがいいんですよね。スープも濃さも、麺の茹で加減も、アブラの量も、野菜の茹で加減も。お店自体もこっち系にしては清潔感あるのが好感です。

心: なんかコメントし慣れてるね(笑)。今度ケニーのラーメン道を御教示ください!キャンプはよく行くの?

ケ: 野外フェスの影響が大きいですね。5年前に初めて北海道のRISING SUN ROCK FESTIVALにキャンプで遊びに行って。そこからテント張ってただ何もせずに気の合う仲間と酒呑んだり焚き火で料理したりっていうのがものすごく楽しくなっちゃって、今ではPA機材と同じくらいキャンプ道具にお金を使っているかもしれない…(笑)。

心: キャンプ道具ね。あれもピンキリだから底なし沼だよね。僕は超インドア人間なのでなんだか羨ましいなあ。ケニーくんはSenkawosの専属PAとして、もう何年くらいやってるの?

ケ: 正式に専属…ってなったのがいつかはわからないですが、「Across The Universe」の頃からだったと思うので3〜4年ですかね。僕もかなりの本数のライブに連れてって貰ったので、もっと経っている気がしましたが。

心: それだけこの3年が濃かったんだね。一番最初にSenkawosのオペレートしたのはいつだった?

ケ: 2012年6月発売の「Across The Universe」のタワレコ渋谷でのインストアライブですね!これは、当時タワレコ渋谷で働いていた花田京子や、Senkawosメンバーともようやく打ち解けてきた頃でよく覚えています。でも、本当に最初にオペレートをしたのはお互いにまだ出会ってない頃で、代官山LOOPに出演した時ですね。

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裏方と言っても一番バンドに近い位置かもしれませんね。

心: そうかあのインストアなんだね。PAっていわば、お客さんに聴かせる「外音」を司っているじゃない。ライブハウスの音響の仕組みをご存知ない読者の皆さんに「中音と外音」とは何かとか、簡単にPAとは何かって説明して欲しいんだけど。

ケ: 確かにパッと見だと何やってるのか分からない仕事ではありますよね。まず、ステージ上には基本的にドラムセット・ベースアンプ・ギターアンプのいわゆる「楽器」の音がありますよね。それと各奏者が演奏しやすいように、他の楽器や自分の音を返してもらう「モニター」の音があるんです。

心: モニタースピーカーだね。あのギタリストが足乗せたりするとこね。「返し」って単語もよく耳にするね。

ケ: この2つを合わせたものが「中音」だと思ってもらえれば。この中音に、各楽器や声をマイクで集音しメインスピーカーから出た音を合わせたものが「外音」です。この外音・中音をうまく調整して、お客さんに出来る限りアーティストの演奏を自然に違和感がなく、バランスよく、心地よく聴かせるのがPAの仕事だと思っています。

心: なるほど。バランスが大事なんだね。そういう意味でも、演奏する側にとっては外音っていうのは演奏しながらは聴けないから、ある種の全幅の信頼をPA側に委ねているんだよね。

ケ: そうですね。ちょっと突っ込んだ話になりますが、会場のキャパシティやサウンドシステムによっても、中音・外音のバランスは本当に随時変わってくるもので、サウンドチェック時はお互いに一番集中する時間ですね。

心: バンドの各楽器のバランスによって曲は全然違う聴こえ方をするし、PAというのはもうバンドメンバーの一員だね。

ケ: 初見のアーティストをオペレートすることと、バンドの出したい音の意向・楽曲がわかっていてオペレートすることは全然違いますね。まずアーティスト側に信頼されていることで、彼らも余計な心配をせず楽曲を演奏することに集中できる。この時点でもうスタート地点で差がでますよね。良いバンドやアーティストほど専属のエンジニアをしっかりつけて、音響も演奏も安定したライブをしていると思います。そういう面で見ると裏方と言っても一番バンドに近い位置かもしれませんね。

心: 楽器編成的に、Senkawosは音数が多いよね。みんな休みなく弾いてるし、棲み分け的なところとか、どーしてるの?

ケ: Senkawosは本当に音数多く、隙間を埋めるようなプレイが多いので、この辺は初期の方はかなり苦労しましたね。出会った頃は結構全員が中域に集まる印象があったので、まずベースの石井さんの音を、少しボトムに落としてウワモノが飽和しても崩壊しないように突き詰めて。これだけでもだいぶ良くなったんですが、あとは、太鼓やギターアンプなどマイクで集音するものの分離を図りたかったので、それぞれにあった特性のマイクをライブでは随時使用するようにしました。具体的にはコンガなんかはハイが強調されるShureのBeta57Aを使用して、EQでも10kHzくらいをブーストして、音数多い中でもスラップ音も強調できるようにしたり…

心: お!なかなかマニアックな世界になってきたね(笑)。ここら辺の音作りの話はまた別の機会にしようか。僕は全然わからないからさ。大島くんとオタクな対談としてやってほしいね。

ケ: それは是非とも!

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心: ケニーくんは公私に渡ってメンバーとも一番近い存在だと思うんだけど、そういう立ち位置から見た、メンバーそれぞれのプレイや特徴とか、ここを出していきたいとか癖とか良さとかを聞いてみたいな。まずはドラムの和田くんから。

ケ: ワディはかなり堅実なドラマーですね!この人以外にSenkawosのドラムを叩ける人はいないと思います。ライドシンバルを叩きながらベースの石井さんを上目遣いで見る視線が僕のおすすめVIEWポイントです。

心: え?上目遣い?和田くんは顔で叩くドラマーだと思うんだけど。

ケ: 自分が高まった時にだけ見れる最後の「バンザイスティック投げ」も是非お楽しみ頂ければと。スタッフの中では名物です(笑)。

心: 最後のフィナーレの「ドコどんっ!」のとこね(笑)。次はベースの石井くん。

ケ: 石井さんも堅実!この2人がしっかり支えてるからこそですよね。最近は「Night in Koza」なんかでも見れるGroovyなフレーズも増えてきて楽曲の幅も広がってきたのではないかと。

心: 石井くんといえば口癖の「ハイサイ〜!」だよね。

ケ: 誰もがご存知ですが、沖縄とビールを手にしたらこの人の右に出るものはいないですよね。プライベートでもよく飲みに行く飲み仲間でもあります。心底さんもよく飲みに行ってるとか?

心: まあたま〜にね。石井くんは僕なんかより飲むからね。じゃあ次、ギター大島くんは?ボーカリストとしても。

ケ: ボーカル曲に関してはいつも、ポップで耳馴染みのいいセンスを発揮していると思います。その声もまた癖になるというか、Senkawos風に言うとスルメ的声質ですよね。ギターは言わずもがな、今回も「Afrika」なんかでも見れる変態フレーズテクニックでいつも魅了されています。

心: 大島くんって、なんかギター弾きながらムニョムニョ言ってない?

ケ: ライブでインスト曲なのに「あれ?なんか声が聴こえるな」と思って、ヘッドホンで調べてたら、大島さんが弾きながらゴニョゴニョ言ってるんですよね。あれだけ全身で演奏してて口でもやってるー!って。最近は、インスト曲の時はボーカルのフェーダーをそっと下げています(笑)。

心: キース・ジャレット並みにゴニョゴニョ言ってるよね(笑)。でも歌うようにギターを弾いているとも言えるよね。じゃあキーボードの吉田くんは?

ケ: レオさんはここ最近シンセとエフェクターを積極的に楽曲に取り入れて、これまた、Senkawosの音の幅が広がったと思います。ただ、たまに静かに暴走する時があって(笑)。なんか、いつもと違う音が聴こえるな〜と思ってたら、急に爆音でDelayのフィードバック全開になって、たまにわーってなります。まあ、JAMバンドなんでそういうのが面白いんですけどね!

心: 吉田くんはケニーを困らせたいみたいよ(笑)。まあ飽き性だから遊びを入れてるつもりなんじゃないかな彼なりに。最近また太った気がするけど。

ケ: 徐々に大きくなっているという噂がありますよね(笑)。あれだけ、るいちゃん(吉田の妻)が料理上手だからそりゃあもう…。幸せ太りってことでいいんじゃないでしょうか!イカワタ料理も教えてほしいですね。

心: 最後はパーカッションとオモチャのエリヲちゃん。

ケ: エリヲちゃんも抜群のセンスで常に楽曲にあった鳴り物をチョイスしてますね。あのロリ声コーラスも大島さんのボーカルとよく合うんですよね!本当にいつも楽しそうに演奏してて。ライブでもエリヲちゃんファンが固定しているのも頷けます。

心: ロリ声(笑)。確かにファン多いんだよね。見てて楽しいもん!でもたまに暴走してオモチャの音がバコっとマイクに入ったりするよね。

ケ: だいぶパターンは掴めてきましたが、今回のリリースツアーでまたおもちゃ増えてるんだろうな〜(笑)。ライブ中の聴き慣れない音はだいたいエリヲちゃんかレオさんの仕業ですから…。今から僕も楽しみにしています!

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もしミュージックビデオを作るなら僕がディレクションしたいくらいです(笑)。

心: もう数々のライブをオペして来たと思うけど、思い出深いライブは?

ケ: うーん、やっぱりFUJI ROCK FESTIVALのAVALONステージですかね。あの時はメンバーもスタッフもコンディションがとてもよくて、おまけにずっと降っていた雨がSenkawosの時だけ止んだんですよね!お客さんも、たくさん来てくれて感動的だったな〜。

心: うんうん。もう3年前だもんな〜。またFUJI ROCKで見たいもんだね。そして9/7に新作が発売されたわけだけど、ケニーくんはライブからずっとアレンジが変わっていく過程を見てきているんだと思うけど、「Fork」の中で一番好きな曲は何?

ケ: 僕個人的には「未完の建築」が一番好きですね。デモを聴いた時最初は、正統派ポストロックかな?と思いきやトイピアノの可愛らしさもあって、展開も秀逸です。後半のテーマが疾走する部分は完全に頭のなかでビジョンが浮かんでいるので、もしミュージックビデオ作るなら僕がディレクションしたいくらいです(笑)。

心: それは是非とも観てみたい!

ケ: 他にも、新たな始まりを予感させる「Flying Tortoise」、ミラーボールの似合うダンスナンバー「Night in Koza」、久しぶりのリード歌モノ「チューン・イン・タイム」、思わず「アーバン…!」と叫んでしまう「Pottering Around」、シューゲイザー的アプローチで気持ちよく、どこか終わりの切なさを感じる「雪が降る街で」などなど、感情を縦横無尽に楽しめるアルバムではないかと思います。

心: いいね!熱いレビューありがとう(笑)!でもSenkawosの本領はやっぱりライブで発揮されるのかなと思うし、そこにはケニーくんの手腕がとても重要になっているんだね。とても勉強になったよ!じゃあ最後になるけど、今後Senkawosでやってみたい箱や現場はある?

ケ: 大きい箱や野外フェスもいいんですけど、ヘンテコな所ツアーをやってみたいですね!お寺とか、鍾乳洞とか。今までも動物園やプラネタリウムなどでやっていたので、それの全国各地版というか。Senkawosは器用なバンドなのでどんな場所でも、すぐにイメージできちゃうと思うんですよね。

心: 鍾乳洞か。ナチュラルなリバーブが気持ちよさそうだね。ぜひアコースティック編成で聴いてみたい!それじゃあ長々とありがとう。10/22(土)の代官山UNITでの「外音」を楽しみにしているよ!

ケ: ありがとうございます!

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