来る2012年6月6日に発売されるSenkawosのニューアルバム「Across The Universe」の話もタップリ聞いちゃったりなんかして、わいわいと進んでゆくインタビュー。全三回の連載となります。
ライヴや音源では伝わりにくい、メンバーの人間性や趣味趣向、生い立ちからSenkawos結成の経緯まで、皆さんが知りたくて知りたくてしょうがないことから、知らなくていいことまで深く掘り下げて行きたいと思っております。
さて、第一回目のゲストには、楽器演奏に留まらずさまざまな分野で幅広く活躍中の「豊島区のタモリ」こと大島武宜さんと、パーカッション・おもちゃ・ゴミを自在に操る伊藤絵里 aka エリヲさんの「エキセントリックコンビ」を御招き致しました。
大島さんはSenkawos結成当時からのメンバーであり、ギター・ヴォーカルの他にもレコーディングエンジニアリングからミキシング、ジャケットデザインまでこなす、マルチな才能を如何なく発揮する喋り出したら止まらないナイスガイです。エリヲさんは、五人編成にゲスト参加で加わったのが最初ですが、その特異なキャラクターと愛嬌と太鼓のスキルがメンバーの心を鷲掴み、今や必要不可欠な紅一点メンバーとして、新作の「Across The Universe」にも太鼓から歌まで全面参加しています。では始めてみましょーか。
第一回 心底笑男×大島武宜×伊藤絵里
心底笑男(以下 心): ヨロシクお願いします!
大島武宜(以下 大): 心底さん、お久しぶり!ヨロシクお願いします!
エリヲ(以下 エ): キャハハハ!
心: 元気いっぱいですね!新作「Across The Universe」について、サンプルを聴かせていただきましたが、バッチリな仕上がりでした。
大: そうなんだよ!我ながらナイスな出来になったと思ってるよ。早くみんなの耳に、そして目にお届けしたいね。
心: め、目にもですか!?
大: あ、そうか。心底さんはまだCDジャケットの仕上がりを知らないんだものね。いつもの心底さんと眼鏡田さん(編集注: 月刊「多肉植物」編集長の眼鏡田國男氏)のライナーノーツに加え、今回は面白ネタを仕込んでいるよ。まあ、見てからのお楽しみってこったな!ガハハハッ!
エ: ぐふふふ!
心: これは楽しみですね。新作「Across The Universe」については後程たっぷり触れるとして、まず最初はお二人のヒトトナリに迫って行きたいんです。
大: なんでも聞いてよ!
エ: 押忍!
心: では、自己紹介からお願いします。Senkawosでの役割をお聞かせください。
大: 演奏ではギターと歌を。音源制作ではマイク立てからミキシング・ジャケット制作まで、全てを担当しているよ。
エ: たいこ、おもちゃ、ごみ!
心: 大島さん、Senkawosの結成のいきさつとは?
大: 2005年に猫舌(編集注:パーカッション・ヴォーカル担当の平山敬之の愛称)が知り合いからライヴに誘われて、同級生の僕と吉田に声を掛けたことがきっかけかな。
心: まさかの猫舌さんがきっかけですか!どんな演奏だったのですか?
大: 確かこのライヴは吉田がMicroKorgにサンプラー、僕がエレクトリックギター、猫舌がヴォーカルとカリンバを持っていたような。即興的なアンビエントノイズに猫舌がラップを乗せて、観客が「一同(苦笑い)」みたいなどうしようもないライヴだったよ。
心: 今のサウンドからは想像できませんね(笑)。そんな時代があったとは。
大: 当時は「マジョリティは敵、アングラカッコよす」みたいなデリケートな時期だったからね(笑)。ギターは常にピッチシフターとリングモジュレーション掛かってるみたいな。自作楽器を導入したり、青山蜂で8時間即興演奏をやったり、実験的なことはこの時期に色々試したよ。
心: エリヲさん、Senkawosと最初に出会った時の印象は?
エ: ナニモノ!?って感じだった!
心: では大島さん、エリヲさんの印象をお聞かせください。
大: 喋るとへにょへにょなんだけど、太鼓の前だと豹変するよね。複雑で面白いリズムマジックをさらりとプレイしたり。豊かな想像力と確かなテクニックを併せ持つ、大変優れたパーカッショニストだよ。
心: エリヲさんは大島さんの第一印象はどんなでした?
エ: 魔法使い!
心: ではお二人のバックグラウンドについても聞きたいのですが、音楽、楽器を始めたのはいつ頃ですか?
大: 8歳くらいかなぁ。家にアップライトピアノとギターがあって。何かのきっかけで始めたというよりはいつの間にか触っていたという感じかな。
エ: オルガンを3歳ぐらいからはじめた!
心: なぜオルガンを?
エ: アパートの床が抜けるからピアノは置けなかったの!
心: 独学ですか?
大: うん。楽典やBerklee系理論書をぺらぺら読みながらね。
エ: おうちでぐちゃぐちゃひいてたらいつのまにかエレクトーンヤマハ音楽教室通ってた!
心: エリヲさんは、自分のパート以外でやってみたい楽器は?
エ: うたうたう!
大: そうそう、エリちゃんは太鼓だけじゃなく歌声もすごく良くて。今作「Across The Universe」では「わたし、レタス」や「遠くにいこう」などにエリちゃんの美声が入っているZE!
心: エリヲさんは好きなミュージシャン、共演してみたいミュージシャンはいますか?
エ: CHARA!
心: お~イイですね!じゃあここからは音楽とは関係なく少し変わった質問もしてきますね。エリヲさん、自分の前世はなんだったと思いますか?
エ: まめ!
心: 好きな食べ物は?
エ: おかし!
心: 無人島にひとつだけ持っていけるとしたら何?
エ: ジェイドくんとラプちゃんとペコちゃん!(編集注: 伊藤が飼っているイヌの名前)
心: 気持ちいいくらい即答ですね!
大: 心底さん…、エリちゃんにばっかり質問責めじゃさすがの僕ちゃんも寂しいYO!!!
心: あはっ!すいませんでした!では大島さんにも聞いていきますね。そうだなー。好きな映画なんてありますか?
大: なんか投げやりになっているような…? 映画なら、伊丹十三監督・黒澤明監督の作品が好きだね。心底さんもこの辺りでしょ?
心: そうなんですよ。特に最近は黒澤明リバイバルが個人的に起きてましてね。一番好きなのは「どん底」です。黒澤明監督は今年中に全作品観ようと目論んでいますよ。
大: いいね。黒澤映画なら「生きものの記録」が一押しだね。エンターテイメント色が強い一連の作品の中で、極めて強い「メッセージ性」が打ち出されている作品だよ。心底さん、今度このブログで黒澤明特集でも書いてみたらどう?
心: ですね!温めておきます!エリヲさんは映画などは見るんですか?
エ: 寝ちゃうからあんまり見ない!
心: 大島さんは、好きな漫画などはありますか?
大: 不思議とSenkawosを支えてくれているファンには、つげ義春先生・諸星大二郎先生フリークが多いんだよね。僕自身、両氏のファンで多大なる影響を受けているからサウンドにも滲み出ているのかな。
心: なるほど。確かに前作「On The Ground」で猫舌さんが歌う「エネミー・オブ・マワリワ」を聴いたあと、つげ先生の「無能の人」の読後感と近いものを感じました。
大: あ、それは猫舌自身が無能の人だからかもしれない。石拾って集めてたりするもの。
一同: (笑)
心: エリヲさんは漫画は読みますか?好きな漫画なんてありますか?
エ: あんま読まない!漫画じゃないけど、まいちんの作文「つまらない」が好き!
心: ここからは番外編として、Senkawosとも交流の深いDJ自由さんからお便りが届いたので紹介していきますね。では大島さんへ。「野菜や果物に関する曲が多いのはなぜ?」
大: 単純に好きだからだよ!寝起きの乾いた体への水分補給には、柑橘類が一番だね。今作にもレタス目線の健気な想いを歌った「わたし、レタス」や、檸檬の酸味に着想を得たガットギターの弾き語り曲「檸檬の実」などを含めたから、楽しみにしていてね。
心: 今作も野菜・果物てんこ盛りですか!続いてもDJ自由さんから大島さんへ。「眼鏡の選び方に悩んでいます。どんな基準で選んだら良いかアドバイスして欲しいです。」
大: ふむふむ。フレームが大きいものをセレクトすると良いだろうね。サウンドのセレクトにおいて、大変広い視野を持っている彼なのだから。
心: 巧い!確かに彼は音楽への造詣が深いですよね。私も彼のMIX CDには大変御世話になってます!
大: Senkawosが年4回行っている自主企画にもDJとして協力してくれている。DJ砂漠と一緒に毎度毎度流石の選曲でナイスな空間を作ってくれているNE!
エ: ぷひょー!!
心: さて、ガラッと話は変わりますが、昨年よこはま動物園ズーラシアで行われた「ナイトズーラシア」。ライティングチームのリキッドライトの幻想的な光をバックに演奏したライヴは印象的でした。
大: うん。先日の「Indus&Rocks vs Senkawos」でもライティングをしてくれた、dbqp・liquidbiupilのアキラくんに誘われて実現した動物園でのアコースティックライヴだね。オーヴァーヘッドプロジェクター4台とレーザーマシン1台によるライティングは本当に素晴らしかった。
心: はい。私の中では昨夏のハイライトともいえましたね。そこで質問なんですが、もしも園内の動物と共演できるとしたら、どの動物がいいですか?
大: オカピがいいかな。ズーラシアでオカピの靴下を買ったから、「森の貴婦人ズ」としてプレイできるもの。
エ: パンダの100円入れるやつ!
心: 是非とも夢の共演を見てみたいです!Senkawosは今年も「ナイトズーラシア」でやるんですよね?
大・エ: もちYES!!!!!
大: 詳細が決まったらまたこのサイトでお知らせするから、楽しみに待っていてね。
心: ではお待ちかね、今作「Across The Universe」に触れていきますね。ベタな質問ですが、聴きどころはどこらへんでしょうか?
大: そうだね。過去のSenkawosのアルバムと同様、かっちりシリアスからばっちりユーモアまで大変バランス良くまとめられたアルバムになっているよ。アルバムの頭から終わりまででひとつの流れを構成しているので、少し古い感覚かもしれないけど是非アルバム単位で聴き通してほしいな。
エ: プー!
心: なるほど。サンプルを拝聴しましたが、確かに「明るいエレクトリックな楽曲から静かなアコースティックな楽曲へ遷移」した時など、目の前の風景が変わる快感がありますね。アコースティックな楽曲など、録るのに苦労されたのでは?
大: ご明察。今作にはアコースティックでの楽曲が数曲あるのだけど、アコースティック楽器はマイクを立てる位置でサウンドが大きく変わるから、イメージする音を拾うためにはトライ&エラーの繰り返しが必要だった。アップライトベースが今回最も苦労した楽器で、結局「楽器から少し離した位置に立てたOkatava MK-319」「fホールに近づけたSennheiser e602」「コマに取り付けたピエゾピックアップ」を混ぜてサウンドメイキングをしたよ。
心: なるほど。暖かみのある素晴らしい音でした!エリヲさんは、レコーディングで苦労したことは?
エ: 録音中、静かにすること!
心: エリヲさん、レコーディングで思い出深い曲はありましたか?
エ: バツカーダ!
心: お!「動物たちのバトゥカーダ」。ドラムの和田さんによる「どサンバ」な楽曲ですね。確かにインパクトがありましたね。パーカッション以外にゴミも使用されたんですか?色々不思議な音が聴き取れましたけど。
エ: ないしょ!
大: それはまたレコーディング裏話として別の機会にゆっくり話す事にしようじゃないか。
心: う、う。気になるな~。では大島さんのオススメ曲は?
大: もちろん、アルバム全曲がオススメ曲なんだけど、あえて挙げるなら、プログレッシヴフュージョンライクな「The Torus」(YouTube – Senkawos::The Torus)とアルバム最後に収録した「遠くにいこう」かな。「Senkawosってどんなバンド?」という質問への回答として、この2曲は大変ごきげんに機能するはずだよ。
心: なるほど。インストと歌モノのバランス感覚も非常にいいと思いますね。では最後にお伺いします。今後のSenkawosに必要なものはなんだと思いますか?
大: 幼稚園を遠くから双眼鏡で覗いて園児たちを観察したり、老人の集まるクラブ(囲碁・将棋などの方)に積極的に通うことだね。彼らの趣味嗜好を理解することで、老若男女誰にでも響く音が出せるようになるかも知れないのだから。
エ: くわとかご!!!
心: いやいや夏が来ますね!今回は大島さんとエリヲさん。長々と鼎談という形でのインタビュー、本当にありがとうございます!じゃあ打ち合わせ通りにいきますよ。Senkawosのニューアルバム「Across The Universe」!はい、せーの!
一同: 6月6日発売~!
心: お疲れ様でした!
取材・インタビュー・文:心底笑男
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