心底笑男とSenkawosの不思議な鼎談[第二回] 心底笑男×石井一樹×和田佳憲

2012-05-07  心底 笑男

【心底笑男とSenkawosの不思議な鼎談】とは、わたくし心底笑男がSenkawosから選ばれた二人一組を御招きして、夜な夜な鼎談するインタビュー形式のパーソナルドキュメンタリーです。 第一回に引き続き、第二回のゲストにはズッシリとSenkawosの楽曲の骨組みを支えるリズム隊であり、ここ2年でSenkawosをバンドサウンドへと仕立て上げた同級生コンビ、ドラムス・パーカッションを自在に操る和田さんとベース兼夏男担当の石井さんをお招きしました。 和田さんは自他ともに認めるリズム人間として、数々のバンドを渡り歩いてきたドラマー・パーカッショニストです。そのリズムへの飽くなき探求心がSenkawosのポリリズミックな楽曲を華麗に昇華させているのは御存知の方も多いはず。かたや石井さんはベース一筋の職人肌、口数も少なめ。ドッシリと構えるプレイスタイルはDUBミュージックからの影響が色濃く、Senkawosに新たな風を送り込んでいます。 Senkawosに加わった経緯からこれからの進むべき道、勿論新作「Across The Universe」についてもたっぷり聞いてみましたYO!!!

第二回 心底笑男×石井一樹×和田佳憲

心底笑男(以下 心): ヨロシクお願いします! 和田佳憲(以下 和)石井一樹(以下 石): ヨロシクお願いします! : 心底さん!今日はお会いできて光栄です!僕自身、心底さんとちゃんとお話しするのは初めてなので今日がとても楽しみでした。 : ですね!初めまして!私も会えて嬉しいです!では早速ですが、Senkawos以前の活動を教えてください。 : 19歳くらいからオリジナル曲をやるようになって、それからは多岐に渡って数多くのバンドに参加してきました。自分がリーダーを務めるバンドをやりながら「ドラム募集」とかあるとすぐ連絡しちゃう、みたいな(笑)。がむしゃらに飛び込んでましたね。その中には今すごく有名になったプレイヤーもいたり。2008年頃、和也(編集注: 声の可能性を発見し続けるシンガー・ソングライター善戝和也)と出会ってからは、ツアーに出たり・たくさんのミュージシャンとジャムセッションをしたり・ドラム以外の楽器を担当したり、それまで以上に多角的な活動をしてきました。 : 高校半ばくらいから和田君とは色々なジャンルのバンドをやりました。でその後20代前半に友達とDUBバンド作って、そこからライヴを沢山やるようになりましたねー。そのバンドも和田君がドラムをやっていたんです。 : なるほど。そんな豊富なバンド経験を持つお二人が、途中加入という形でSenkawosのリズム隊に加わった訳ですが、Senkawosの第一印象はいかがでしたか? : Senkawosのことは所沢のみんな(編集注: 「音楽喫茶MOJO」に集まる、Indus&Rocksを中心とした所沢シーンの猛者たち)から初めに聞いていて。SenkawosのWEBサイトを見てみたら同じ中学の先輩3人だったという(笑)。「未だに変なことやってるんだなー」って思いましたね(笑)。 : 相変わらず三人とも個性が凄いなぁって。けど中学以来会っていなかったし、初めてスタジオに入った時は何かこのメンバーで音を出していることが凄く不思議でニヤニヤしながら演奏していました。 : では続いて、Senkawosでの自分の役割とは? : ドラム。曲の細かいリズムアンサンブルについては、僕と大島くんであーだこーだ言って決めることのが多いですね。あとは、何だろ。年4回行っているSenkawos主催のイベントは僕が企画しています。好きなミュージシャンを呼んで何かをやるってことが好きなので。石井くんはスタジオ予約大臣です。これは僕には到底できないですね。 : 今和田君にご紹介いただきましたスタジオ予約大臣イシイでーす。ハイサーイ。ベースも弾いていますよ。あとはスタジオやライヴでの演奏を生録したり、いわゆるSenkawos商事の庶務課みたいな感じでしょうか(笑)。 : なるほど。和田さん、次のSenkawos企画はいつでしょうか?是非とも遊びに行きたいですね。 : おっ、ありがとうございます。次回「SPRING SENKAWOS」は5月25日の金曜日、前回同様所沢の音楽喫茶MOJOでやります!今回の出演者も、RiddimatesQuO馬喰町バンドといったSenkawos企画でしか実現できないラインナップです。このラインアップ、心底さんのストライクゾーンですよね。 : ほぉぉぉ、絶対行きます!では、中学校からの同級生コンビのお二人ですが、お互いの第一印象、そして今現在の印象はいかがですか? : 第一印象は全く覚えてないですね(笑)。少年野球で対戦した時が初対面だったかも。今現在は…本当に変わらないって言うか、マイペースでぶれない人だなーと良く思います。 : 和田君との出会いは中一の春。それはそれはポカポカとした夏に近い陽気な頃でした。クラスは違ったんですが、ゲームセンターかどこかで会って同じ腕時計をしていることで仲良くなりました(笑)。高校からは毎日のように一緒でしたね。バイトも一緒だったし。色んな部分を見ていますが、好きな事に対する情熱や集中力は本当に尊敬します。 : なるほど。面白いですね!では音楽、楽器を始めたのはいつ頃ですか? : 12歳くらいかな。 : 僕も同じくらいです。 : なぜその楽器を? : 最初はギターを買ったんですが、すぐにベースがやりたくなって。ベースを3年くらいやっていましたね。その後高校で巧いベーシストに出会って、彼と一緒にやるためにドラムを始めました。特にパートにこだわりは無いですね。どんな音楽も、どんな楽器も好きです。 : 友達の家に集まって、ギター2本とベースがあって。「背が高いからベースをやれば」って言われてベースになった気がします。あの頃はギターでもベースでもとにかく楽器持てただけで嬉しかったですよね。 : 独学ですか? : ドラムはジャズドラマーの千光士実先生に師事していました。パーカッションはワークショップに参加したり、周りの素晴らしいパーカッショニスト達(編集注: 和田は打楽器奏者のみで構成されるバンド「Sundrum」でもパーカッショニストとして活躍中)から学んでいるという感じですね。ラテンもブラジリアンもアフリカンも。最近は東京音楽大学の民族音楽研究所でジャワガムランも勉強し始めました。 : 独学です。参考になる本を読んだり、好きなアーティストの映像を見たりして。「習うより慣れろ」的な泥臭い感じですね(笑)。 : 自分のパート以外でやってみたい楽器はありますか? : Senkawosのパートなら玲央くんのパートをやりたいですね。ドローンライクなシンセ。Senkawosに固執しないのなら、何でもやりたいです。一つあげるなら、クラシックギターかな。 : ほぉ…、それは興味深いですね。玲央さんにも同じ質問をしたら「ドラム」と即答していましたよ。この際、パートをチェンジしてみるのなんていかがですか? : おー、いいですね。でもやっぱりSenkawosではドラムをやりたいので、またの機会に! : 石井さんは? : スティールパンを本格的にやってみたいのと、沖縄のエイサー隊に入ってみたいです。 : なるほど。では少し音楽とは関係ない質問ですが。自分の前世はなんだったと思いますか? : 「植物」とかだったらいいなー。 : 具体的には? : 「木」とかだったらいいですね。完全に適当に言ってますけど。 : 沖縄の海を泳いでいた「ジュゴン」ですね。 : 好きな食べ物は? : カレーライス。 : ゴーヤー。子供を授かるなら、「ゴウヤ君」って名前にしようかと。 : 無人島にひとつだけ持っていけるとしたら何? : 折れない心。 : ゴーヤーの種。

理想的なゴーヤーの形状・質感について意見を交わす二人。

: 好きなミュージシャン、共演してみたい(故人含め)ミュージシャンは? : たくさんいますね。共演してみたいミュージシャンを一つ挙げるならString Cheese Incident。今すごく好きなミュージシャンはU-Zhaanさん。 : ベーシストだと、アストン・バレットと鈴木正人さんが大好きですねー。Dry&HeavyのHeavyさんも昔から尊敬してるベーシストなので、昨年QuOが企画した「SQUAT TOKYO」で共演できた時は感激しました。 : 普段はどういう音楽を聞きますか? : ユーミンからフリージャズ、無の境地インド辺境ドローンミュージックまで。最近はもっぱら小石川図書館で昔のジャズや世界各地のリズム音楽、小泉文夫さんの民族音楽シリーズなどを良く借りています。 : ジャンル関係無しに色々な音楽を聴くのが大好きです。 : 「CDが売れない時代」と言われていますが、「ミュージシャンとお金」についてどう考えていますか? : ミュージシャンを続けていく上で多少のお金は必要だと思いますけど、アフリカのミュージシャンは太鼓に穴が空いている、ギターの弦の代わりに車の部品を代用する、なんて当たり前って聞いたことがありますし。各々の価値観次第でしょう。 : 何事もお金って後からついてくるもんだと思うので、自分がこれだって思ったことや大好きな事を、まずは思いっきりやり抜いてみればいいんじゃないでしょうかね。 : 真面目ですね!素晴らしいです。では和田さん、ドラムの魅力とは? : 音の強弱、ダイナミクスを大いに発揮できるところですね。あとはやっぱり…、ドラムってかっこいいですよね。 : やっぱりモテますか? : 僕より石井くんの方が断然モテますね(苦笑)。この間の「Indus&Rocks vs Senkawos」の時なんか、僕の目の前にいたお客さんはIndus&RocksのマオとSifakaの吉田宇宙くらいでしたからね。いや、ありがたいんですけどね。 : そんなモテモテの石井さんにとって、ベースの魅力とは? : 体の芯まで響く低音と、心も体も踊るリズムと「間」です。

レコーディング中の石井。「ドロップD」の変則チューニングでプレイする大島に合わせ、今作から5弦ベース(Warwick Streamer Jazzman 5St.)を導入した。

: では新作「Across The Universe」について伺っていきたいんですが、まずは全体の聴きどころを教えてください。 : Senkawosの魅力のひとつである「楽曲の振り幅」が更に進化した作品だと思います。前々からやりたいなと思っていた「一人での重ね録り」が今回「動物たちのバトゥカーダ」で実現できましたし。厳密にはコンガ・パンデイロなどをエリヲに叩いてもらったので、一人じゃないんですけど(笑)。玲央くんと猫舌(編集注:パーカッション・ヴォーカル担当の平山敬之の愛称)のラップが入った「酔っぱらいに明日はない」などのユーモア溢れる曲がありつつ、「ねじれる視線、交えるふたり」にも通ずるプログレッシヴ・フュージョン指向のシリアスな曲「The Torus」があったり。あと、ライヴでも定番化してきましたが、「After a Brief Sunshower」は今は亡きSenkawosのアジト「和田荘」で大島くんと石井くんと僕の3人で曲のラフを作った、思い出深い曲です。すごく楽しい曲なのでライヴでは演奏中ニヤニヤしちゃいますね。 : 「一曲一曲違う雰囲気」というとまとまりがなくゴチャゴチャしていそうですが、あら不思議!全曲スッキリと聴けるアルバム。もちろん曲単位でもいろんなシチュエーションにマッチするんじゃないかと! : 思い入れが強いみたいですね!ではレコーディングで苦労したことは? : 自分が何年後かに聴き返しても納得できるようなドラムフレーズ・演奏を録りたいと思っていたので、レコーディング前の2週間、毎日何時間もスタジオに入ってしました。レコーディングでの苦労はなかったけど、その期間は毎日試行錯誤してましたね。 : 気付いたらスタジオでヒマラヤ君(編集注:パーカッション・ヴォーカル担当の平山敬之の愛称)が寝てるとこですかねー(笑) 一同: (爆笑)

楽器への強いこだわりを持つ和田。今作では自身のドラムキットを丹念にチューニングし、スタジオへと持ち込んだ。13インチのハイハットとフロアタム横にセットされたウィンドチャイムが特徴的なセットだ。

: ではレコーディングで思い出深い曲は? : 「動物たちのバトゥカーダ」かな。構成を何度も練り直しました。あとは「Measuring a Wavelength」の途中で出てくるカリンバ。中々良い音で録れなくて。結局、スナッピーを外したスネアの打面にカリンバをくっ付けて、カリンバとスネアを共鳴させながら録りました。 : 「After a Brief Sunshower」は和田君が言った通り、思い出深いですねー。「Interplanetary Spaceflight」も同じ日にベースフレーズから作った曲なのでこちらも。あと「Measuring a Wavelength」・「酔っぱらいに明日はない」では、ウッドベースを初導入しました!新しい事をやるのは刺激になるし、これからも取り入れていきたいですねー。 : 今年はどんな夏にしたいですか? : 海外に旅行に行きたいですね。インドネシアかタイかな。 : 遠くにいこう!沢山太陽を浴びる。沢山夏野菜食べる。後は野外でライヴをやりたいです。ねっ、和田君。野外やりたいっすよねー。 : 是非とも野外で観たいです!画面の向こうの企画者さま・イベンターさま、オファーはこちらの宛先まで(人差し指を下に向けて左右に動かしながら)!では最後の質問になりますが、今後のSenkawosに必要なものは何だと思いますか? : 「個々の上達」だと思います。もっともっと練習したい。 : 練習の虫ですね!スタジオにはどの位の頻度で? : 今は週1・2回くらいのペースで入っています。僕は毎日ライヴやリハーサルをしたい派なんですがね…。 : ベースのレベルアップ。あとSenkawosはバンドスタイルになってまだ2年しか経っていないので、もっとたくさんの人に音源を聴いてもらったりライヴを見てもらえるよう、積極的に活動していきたいですな! : 今回は和田さん、石井さん。長々とインタビュー、本当にありがとうございます!じゃあ恒例のアレ行きますか。打ち合わせ通りにお願いしますよ。Senkawosのニューアルバム「Across The Universe」!はい、せーの! 一同: 6月6日発売~! : お疲れ様でした!

ジョークや与太話を多分に含みつつ進行した[第一回] 心底笑男×大島武宜×伊藤絵里とは対照的に、今回はしっかりと真摯で「真面目」なインタビューとなりました。そして次回は早くも最終回。恐らく「ふざける」要素しか見当たらないであろう、あの二人が登場します!

取材・インタビュー・文:心底笑男

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